怒られ続ける人に見た、満腹感を感じなくなるレプチン抵抗性
職場にいつも怒られている人がいます。
その人は怒られたあとケロッとしています。普通の顔をしてトイレに行きます。どんなにきつく怒られても凹まないように見えます。彼に対する叱責はザルのように通り抜け、何も改善に向かわないように思えます。わたしは色んな職場を経験してきましたが、こういうタイプの人、職場に必ず一人はいます。
怒られ続ける人の心の中
こういう人は怒られているときに自分の心に響かないようにするくせがあるように私には映っています。
相手が本気で伝えたいことを受け取ろうとしない、受け取ると自分の能力の低さを実感してしまったりするし、面倒だから心をザルにしてしまうのです。
おそらく自分の心を守るためだと思います。受け止めていたら心の病気になってしまうと感じ自然と響かないように流し聞きするのです。
そして何も言い返しません。たまに空気を読まない的外れな返答をし逆上させることはありますが。
上司の指導に混ざってしまう罵倒そしていじめ
怒っている上司側は、一部分では彼の行動を組織の問題点としてなんとか改善しようと彼に指導していると思いますが、少なからず腹がたちただただ怒りを解放したくて怒鳴りつけている場合もあるでしょう。上司は部下の言動のなにかを改善して欲しいと思ったときに、部下には多少は凹んでくれないといけないという意識があります。反省してもらって組織としての修復につなげないといけないからです。
しかし改善に向かわず、しかも言い返さないとなれば、上司の方に芽生えてくるのは快感原則です。自分のフラストレーションを放つためだけの発言をしてしまうのです。簡単にいうと罵りです。
これをブレーキをかけずにぶっ放すようになります。
上司の指導教育の叱責に混じって、この理不尽な罵倒を聞かされると、ますます彼は何を直したらいいのか、何を反省したらいいのか分からなくなり上司の発言が全く効かなくなるのです。
彼のような怒られっぱなしの人の末路がいじめまがいのものになってしまう経緯はこれなのです。
正しい指導が理不尽な罵倒に混ざってしまったせいで、全てが届かなくなってしまうという彼を見て私は、レプチン抵抗性により満腹感を感じなくなった視床下部のようだと思ってしまったのです。
レプチン抵抗性
レプチン抵抗性とは
脂肪細胞から分泌されるホルモンであるレプチンは脳の視床下部へ満腹を知らせるシグナルを送り、摂食を抑制させます。
これだけで考えると脂肪組織が多い肥満の人はレプチンの分泌が多く、食欲がわかない状態が続くはずである。
しかし現実は肥満の方の多くは、レプチンの分泌量は十分なのに満腹を感じず食べ過ぎてしまいます。
これは脳がレプチンのシグナルを受け付けなくなっている状態であり、レプチン抵抗性といいます。
彼はレプチン抵抗性を帯びた視床下部となってしまっているのです。会社にとっては軌道修正を図りたくて彼に指示しても、満腹感は伝わらず食べ続け、肥満は進む一方なのです。
彼が何度叱られても改善しないのをみると
、体の中でレプチン抵抗が起こってしまったときの想像をしてしまい、修復しようにも取り返しがつかない状態はゾッとするものだと感じるのです。
組織運営のためのシグナルは簡単でないし、摂食の制御も簡単でない
上司たちはどう振る舞っていたらよかったのでしょうか。
指導の仕方を簡単になものだと捉えず、手を替え品を替え、あらゆる方法を試す根気が必要だったと思います。
それをせず強い叱責ばかりに頼っていたために彼は取り返しがつかない状態になっているのです。
レプチンのシグナルによる摂食抑制を正常に行い続けるには、それを待たずして自身の意識による抑制をする習慣が役に立ちます。これはつまり腹八分目を始めとする食習慣です。脂肪細胞が増えたからではレプチンが過剰になってしまうためです。
まとめ
シグナルが伝わらなくなることを憂う気持ちとその本質的な予防が、組織の健全な運営と健康な生活に欠かせないのです。