飢えには対応ができ、飽食には対応ができない
タイトルは、ずいぶん前の水曜日のダウンタウンの企画が完全に物語っている。
「空腹より満腹の方がツライ説」
お笑いコンビのバイきんぐが身をもってそれを検証するのだが、
- 一人は何も食べない。
- もう一人は一時間に一食摂る。
これをどちらかがギブアップするか満腹担当が次の食事の時間までに完食できなくなるまで続ける、というもの。
食べ物はルーレットで選ぶ等、バラエティ要素を入れて企画として成り立つ工夫がしてあるため純粋な実験とは言えないが、興味深いものがある。
西村氏が満腹担当(1時間毎に食事)、小峠氏が空腹担当で実験。冒頭は空腹感に弱音を吐いている小峠氏に対し美味しそうに毎食平らげる西村氏、という展開だが、後半は食べ物を受け付けなくなっている西村氏に対し、全く食べ物を口にしていない小峠氏は「俺今腹減ってない」と言い放ち、全く辛さを見せていなかった。
満腹の方が人間には圧倒的に負担なのだ。
ヒトの先祖は飢餓との戦いであったわけで
日本は飽食の時代になって久しい。飢えて死ぬことはないだろう。しかし栄養過剰で死ぬことはある。糖尿病、高脂血症、痛風、肝臓病の多くは栄養過剰と言えるが、糖尿病を中心とした合併症による腎不全や動脈硬化、脳梗塞などはその行き着く先であり死に直結する。
飢えではなく飽食で亡くなっているのだ。
満腹に密接な関係のある血糖の話をすると
以前、衛生管理者資格の勉強をした時に、血糖値をコントロールするホルモンの数に違和感を感じたのだが、
まず血糖を上昇させるホルモンを挙げてみる。
- アドレナリン
- ノルアドレナリン
- コルチゾール
- グルカゴン
- サイロキシン
などたくさんある。
対して低下させるホルモンは、
- インスリン
これ一つしかないのだ。
体は満腹を想定していない。空腹を想定している。
飢えに対応できる体であるが飽食には対応できないというのはこのことからも分かる。
腹八分目の重要性
こちらの記事でも伝えたが腹八分目で食事を終えることが病気にならないために必要である。
満腹になって、血液中の白血球が糖質や脂肪やタンパク質その他の処理に追われ、病原菌の貪食をしなくなると感染症にかかる。満腹は免疫ダウンなのだ。
社会的にもヒトという生物的にも飢え状態の方が有利。満腹はRPGでいうバッドステータス。
都会の駅近くでホームレスと呼ばれる人を目にする。それぞれ事情があって仕事に就くことが出来ず路上生活を余儀なくさせられているんだろう。
彼らの中には腹の出ている人が意外に多い。金に困っていても食には困っていないようだ。
飽食の時代の真っ只中にいることを物語っていないだろうか。
金がなくても食べていけるどころか肥満になるまで栄養を摂れるのだ。
社会的な背景を見ても、日本ならばだが、人は飢えには対応がとれるということが言えそうだ。
空腹の状態こそ病気とは離れた状態、満腹を悪と感じれるようになれば、白血球もインスリンも脂肪細胞も元気に自分を支えてくれるのだ。
今日は腹八分目の重要性を違う切り口で捉えてみた。
ちなみに何かを成し遂げるに重要なものはハングリー精神といわれるぐらいである。
精神的な空腹状態の方が、人間的健康なのだろう。