グルテンフリーが気づかせた小麦依存とダイエット観
グルテンフリーという言葉の浸透
ダイエットとしても健康法としてもグルテンフリーという言葉はかなり浸透しつくした感があります。
しかしグルテンフリーを、「小麦抜きダイエット」程度に思っている人も多いはず。
- グルテンをなぜ避けなければならないのか。
- グルテンフリーにすることを推奨される人はどんな人なのか
このあたりが分かっていないとただただ辛い食事制限をしているだけで、個々の目的に近づいていけるとは到底思えません。
グルテンはそもそも
グルテンは小麦に4%~14%ほど含まれるタンパク質で、粘り気があります。その性質を利用して、麺類や菓子や粉物といった成形して作られる食品に便利に使用されています。
グルテンを避けるべき人
グルテンは
- セリアック病や小麦アレルギーの人にとって避けるべきなことはもちろん
- 抗体(グルテン抗体)ができてしまい、それがグルテンに対して攻撃してしまうグルテン不耐症や過敏症
- さらにグルテン抗体がグルテンに似た形状の自身の細胞や臓器をも攻撃してしまうようになる、自己免疫疾患に陥った人
といった人にとっては避けるべきものです。
グルテンフリーに踏み出す第一歩
自分がグルテン抗体をもっているかは血液検査をしてみるのもいいですが、他にも自分で調べることができます。自分で一時的に小麦を絶ってグルテンによる体内炎症を沈静化してその後小麦を摂取してみるという方法です。
一時的にとはいっても、2から3週間ほどの長期間小麦を一切絶ち症状が変わらなければグルテン抗体を自身が持っていないのでしょうが、症状が改善されていればグルテン抗体を持っているということで間違いないと思えるし、この場合はグルテンフリー食を勧められるでしょう。
しかも「絶つ」というのは極端に減らすということではなく一切絶たなければ、グルテン抗体があるかの検査としては意味をなしません。
今まで特に何も考えずに選んでいた食事から、小麦を一切カットしたものに変えるということは簡単なことでしょうか。小麦を使用している主なものをすぐに思いつく範囲で挙げてみますと、
パン、ホットケーキ、焼き菓子、洋菓子、カレー等とろみを小麦粉でつけているもの、うどん、そば、天ぷら、ムニエル、フライ、ピザ…
このように、あらゆるところに小麦が含まれた食品が存在します。
小麦を避けて食事をしようとしても非常に難しいという想像ができます。
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ここで感じるのが、小麦依存
世界的に、食品は大部分を小麦に頼っているということです。
以前、小麦は依存性があるため脳内報酬系を刺激してしまい、癖になってしまうので近づけるべきでないという記事を投稿しましたが、
そういった意味の依存性とは別の依存、
従来の人々の食にとっての重要性、という意味での依存をしているのです。
小麦がないと成り立たない食生活を、歴史的に踏んできてしまっているのです。
この意味での小麦依存は、小麦の物性の唯一性と生産性のため、とも言えると私は考えます。
- 水と混ぜて練ると火を通す前に成形でき、
- 火を通すと固くも柔らかくもなる。
- 水に少量溶かして火を通すととろみが出る。
- 精製すれば白色でほとんど無味無臭であり料理の味を邪魔しづらい。
- 雨さえ多くなければ世界で広く栽培できる。
これだけの便利な物性と生産性があれば、広く主食として食べられるのは当然で、
すなわち人々の生活は小麦に依存するようにできてしまっていたわけです。
その小麦に、アヘンやモルヒネのような中毒性があるっていうんですから、泣き面に蜂のようです。逃げようのない悪夢ですこれは。
ダイエットは自分に必要か考えるべし。本当に必要なのは「健康」なはず。
こういう背景があって、小麦中毒になった人や体の不調をなんとか取り払おうとしてグルテンフリー(という修行に近いこと)に切実な思いで踏み込まないといけなくなった人がいる中で、
グルテンフリーダイエットというダイエット名(?)に加えて、「何日間で何kg痩せた!」などという魔法の言葉が添えられれば、ダイエットリバウンドループ(造語)の渦に溺れた人が飛びついてしまうのは目に見えています。
そしてグルテンフリー食が向いているかどうかの知識も取り入れることなく始めてしまうわけです。
私は揶揄したいわけではありません。
自分はどういったダイエットをすべきか。ダイエットをどういう目的で行うのか。本当に痩せることが重要なのか。
そんなことを考えずに、短期間で結果が出ればそれが正解、という価値観になってはいないでしょうか。
健康的な生活を無理せず行うことが出来ればそれが正解。
ダイエットはそれを実現するためのものであるべきなのに!
と本当に声を大きくして顔真っ赤にして言いたいのです。
最後に
生活に必要なものに中毒性があっても通常は避けられません。よほど切実な理由がなければ絶つ必要はなく
近づき過ぎないように距離を保つ
これくらいが健康的で人間的な生活だと思うのです。
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